GOOD LOCAL PEOPLE
2024.1.19
四季折々の風情やアクティビティ、美味しい海産物…。その恵みをもたらす海が、いま、深刻な問題を抱えています。原因は、人が出したプラスチックごみ。自然界で分解されるには450年の月日がかかると言われており、2050年には約10億トンものごみで海が汚染されると懸念されています。
しかし、この海洋ごみ問題の解決に取り組むのもまた、“人”なのです。地元の海を、街をきれいにし、思いやりの心を育てる取り組みについてご紹介します。
いわきサンシャイン拾活クラブ 新妻さん
Better Days 正木さん
いわき鳴き砂を守る会 桶田さん
鮫川河川敷公園管理運営協議会 草野さん
IWAKI潜人(もぐんちゅ) マンゾーさん
グリーンバードいわき 万波さん
いわきフェニックス 小山さん
BEACH CLEAN IWAKI 吉田さん
小野さん
海と人との未来を守る。
そのためにできること。
市内屈指のベイエリアに位置するイオンモールいわき小名浜。そのきらめく海を臨むショッピングモールを舞台に、2023年9月16日(土)「わたしたちの海・街をキレイに!クリーンアップの輪を広げよう!大作戦!」が開催されました。当日は、市内で清掃活動を行う13団体の活動報告やワークショップ、スペシャルゲスト・鈴木ブンケンさんと市民団体代表のトークショー、ごみ拾いイベントなどが行われました。
メイン会場のステージには、アクアマリンふくしま・岩田雅光さんが登壇。「知ってる?海のプラごみ問題」と題して、海洋ごみが生態系に与える影響について解説されました。 衝撃的だったのは、234個ものプラスチック片を飲み込み息絶えた渡り鳥のヒナの映像。親鳥がエサと間違えて海洋ごみを与え続けた結果だと言います。また、流された漁網に絡んでしまうケースも多く、魚やアシカ、クジラなどの多くの海洋生物が、絶滅の危険にさらされているそうです。ごみを拾うという地道な活動が、海の環境を守るという大きな役割を担っていることを再認識できました。
「鳴き砂は環境のバロメーター。ごみが混ざると音が出なくなります。」 そう語るのは、「NPO法人いわき鳴き砂を守る会」の桶田さん。保全活動で守られている豊間海岸の砂からは、「きゅむきゅむ」と可愛らしくも力強い音が聞かれました。それは、「ありがとう」と言っているかのようで。会場に集まった来場者からも笑顔と拍手が送られました。とはいえ海洋ごみ問題には一朝一夕では解決しないたくさんの課題があり、清掃活動も息の長い継続が必要です。その秘訣について、トークイベントに参加した10団体の代表は口々にこう言いました。
「楽しいから続けられる。」 ごみ拾い活動への参加のきっかけは人それぞれ。しかし、仲間に会えることやムリなく活動に参加できることが、取り組みの輪を広げ、未来へとつながっていく礎になります。
岩田 雅光さん
希望のカケラ!が育む、ごみゼロの海・街。
会場周辺では、一般社団法人ふくしま海と緑のプロジェクトによる「第一回・ブンケン隊長につづけ!はじめてごみひろい」も開催されました。これは、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環でもあり、福島中央テレビ「ゴジてれChu!」の「ブンケン歩いてゴミ拾いの旅」でお馴染みの鈴木ブンケンさんもアンバサダーとして参加。「希望のカケラ!」を合言葉に、総勢70名の親子が元気いっぱいごみ拾いに繰り出しました。
「ごみが気になる子、思いやりの心を育てることが、取り組みを浸透させることになります。」そう話すブンケンさん。
一緒に歩き回った子ども達は目をキラキラさせて、宝探しをするようにごみを探していました。楽しいごみ拾い体験は、海洋ごみの原因でもある「ポイ捨て」の抑止につながると期待されています。 今回のイベントでナビゲーターを務めたEricoさんとともにライブ配信を行っており、各団体の活動やワークショップの様子もより詳しく紹介されていました。ごみを拾う、拾った海洋プラスチックごみでアクセサリーを作る、美しい風景を写真に撮る、見る、触れる…。体感でふるさとを再認識することが、環境保全への意識を高める良いアプローチになっているようでした。
イベントを振り返る中で、ブンケンさんはこんな言葉を発していました。 「応援してくれた人とふるさとに恩返しをしたい。」 海岸をキレイにしたい、海の生き物を守りたい、街を元気にしたい…。さまざまな思いを胸に活動されている方々と、その熱い思いや頑張りに刺激を受け、清掃活動の輪が少しずつ広がってきたように。今回のイベントを通じて環境問題への取り組みが大きく広がっていくことを願ってやみません。
鈴木 ブンケンさん
いわき秀英中学高等学校インターアクトクラブの活動報告では、オーガニックコットンの栽培プロジェクト、海神ネプチューン大学のごみ拾いボランティアなどが紹介されました。当日は館内のあちこちにブースが設置され、海洋ごみを使った万華鏡づくりやアクセサリーづくりなどのワークショップ、各団体の活動報告のパネル展示や販売促進、福島出身の写真家・熊田誠さんの写真展などが開催されました。「クリーンアップミーティング!」終了後の交流会では、環境保全について活発な意見が交わされていました。